ピートとは?ウイスキーの香りをつくる大地の恵み
ウイスキーには「スモーキー」「ピーティー」などと表現される香りがあり、その香りの源のひとつが「ピート」と呼ばれる泥炭です。
「ピート」はスコットランドの大地と密接に結びついており、特にスコッチを語る上では欠かせない存在です。今回はピートの正体と役割、生み出すフレーバーの特徴を解説します。
ピートとは何か
ピートとは、野草や水生植物が枯れて積み重なり、長い年月をかけて炭化した「泥炭」です。
主成分は地域によって異なり、スコットランドやアイルランドにおいては「ヘザー(ヒース)」と呼ばれる植物が、ピートの主成分となっています。
ヘザーはツツジ科のかわいらしい植物で、現地では非常にポピュラーな野草です。
このヘザーをたっぷりと含んだピートが、ウイスキーの香りをつくる要素のひとつになっています。
ウイスキー製造における「ピートの役割」
ピートは、ウイスキーをつくる際の「製麦」という工程で使用されます。
製麦は「大麦麦芽(モルト)」をつくる工程です。
まず原料の大麦に水分を加えて発芽させ、次に芽がある程度伸びたら乾燥させ、成長を止めることでモルトが完成します。この乾燥時に用いられる燃料のひとつが「ピート」です。
ピートを焚いてモルトを乾燥させると、モルトにピート由来の薫香が付与されます。
薫香の付いたモルトは「ピーテッド麦芽」と呼ばれ、ピーテッド麦芽によって製造されたウイスキーにはスモーキーなフレーバーが加わります。
このフレーバーに影響するのが、使用するピートの炭化の進み具合や、主成分の植物の種類です。
他にも、乾燥させる際のピートの使用量や用いるタイミングがフレーバーに影響し、蒸留所はつくりたいウイスキーの個性に合わせ、それぞれを調整しています。
なお、ピートを使用せずに製造されるウイスキーも数多く存在します。
ピートの香りと「フェノール値」
ピートが生むフレーバーは「焦げたような香り」「燻製」「タール香」「ヨード香」などが混じりあった香りと表現できるでしょう。
このピートによるスモーキーな香りの強さを示すのが「フェノール値」です。
「ppm(parts per million)」という単位で表示され、数値が高いほど香りが強いといえます。
香りの感じ方は人それぞれですが、目安としては20〜30ppm程度がミディアムレベルです。
強い香りを持つものは40ppmを上回り、中には100ppmを超える強烈な香りのウイスキーも存在します。
最後に
ウイスキーの重要な要素である「ピート」を解説しました。
ピートを使用すると、独特のスモーキーな香りと複雑な風味がウイスキーに付与されます。
ピーテッド麦芽でつくられたウイスキーを飲む際は、そのフレーバーの奥にあるピートの影響を探ってみてください。
ウイスキーの味わいをより深く、豊かに楽しめるのではないでしょうか。