コラム

2024.10.17

ウイスキーの熟成年数ごとの楽しみ方

  • ウイスキー知識

~若いウイスキー、熟成を重ねたウイスキー、それぞれの魅力とは?~

ウイスキーは熟成年数の長さがステータスのように語られることがあります。10年熟成よりも16年熟成のほうが美味しいと思うでしょう。一般的にアルコール感がまろやかになりおいしいと感じる方も多いですが、一概に熟成年数だけがウイスキーの美味しさとは限りません。短期熟成には短期熟成の利点があります。
今回は、ウイスキーの熟成年数とウイスキーの楽しみ方の関係についてまとめました。

熟成年数の長さ=おいしさではない

実は、ウイスキーは熟成年数がそのまま熟成期間であるわけではありません。記載されている熟成年数は、「最低熟成年数」でブレンドに使われた原酒の中で最も若い原酒の熟成期間が表示年数となっています。

⇨熟成年数表記について詳しくはこちら

熟成年数の短いウイスキーでも長い熟成年数の原酒がブレンドされていることがあります。そのため一概に熟成年数が長いウイスキーが美味しいわけではないのです。

熟成年数の長いウイスキーの魅力

熟成年数の長いウイスキーの魅力は、「希少性」や「時」ではないでしょうか。

ウイスキーは、寝かせれば寝かせるほど美味しくなるわけではありません。熟成のピークがあります。20年、30年……など、長い熟成期間を経てボトリングされているウイスキーは、偶然長い熟成に耐えられたウイスキーと言ってもいいでしょう。

また、ウイスキーは熟成中に少しずつ目減りしていきます。「エンジェルズシェア(天使の分け前)」と呼ばれるこの現象によって、スコットランドでは年間2〜3%ほど(初年度は5%ほど)減少。年3%減少した場合、21年後には樽の中のウイスキーは半分となっています。長期熟成のウイスキーは、希少価値が高くなってくるのです。

さらに、20年、30年も前に作られたウイスキーを飲んだ時に「時のロマン」を感じないでしょうか?ご自身の数十年を振り返りながら、長い熟成期間でしか生み出すことのできない芳醇な樽香とまろやかな味わい、深い余韻を愉しむ……。熟成年数の長いウイスキーは、「時」が与える贅沢なひと時こそ最大の魅力だと思います。

熟成年数の短いウイスキーの魅力

熟成年数の短いウイスキーは「フレッシュさ」や「期待」が魅力だと思います。熟成期間が短いと樽のニュアンスが少なく、蒸留したてのフレッシュさを残した味わいとなっていることが多いです。ハイボールにしたときにそのフレッシュさが爽やかな香りとなり活きると思います。また、スモーキーなモルトウイスキーの場合、熟成を重ねるごとにどうしてもスモーキーさのクセは和らいできます。若い熟成年数のウイスキーでしか楽しめない香り・味わいもあるのです。

さらに、若い原酒は「これを長く熟成させたらどうなるのだろう」と想像を膨らますことができるのではないでしょうか。この後長く熟成させるウイスキーには、未来への期待という楽しみ方もあると思います。

ウイスキーのラベルに記載された熟成年数に合わせて楽しんでいただけたらと思います。