コラム

2024.08.06

ウイスキーができるまで|7つの製造工程を解説

  • ウイスキー知識

ウイスキーの魅惑的な香りと複雑な味わいは、どのようにして生まれるのでしょうか。その秘密は、緻密な製造工程にあります。
そんなウイスキーがつくられる工程を、次の7つのステップに分けて解説します。

  1. 製麦
  2. 糖化
  3. 発酵
  4. 蒸留
  5. 熟成
  6. 混和
  7. 瓶詰め

1.製麦(モルティング)

製麦とは、大麦を発芽させて「大麦麦芽(モルト)」をつくる工程です。大麦は発芽することで「酵素」を生成し、この酵素が大麦のデンプンを糖に変えます。

発芽させるには、まず大麦を水に浸した後に空気にさらし、再び水に浸ける工程を2、3日繰り返します。
その後は空気を送りこんで発芽を促し、芽が適度に伸びたら乾燥させて成長を止めれば、大麦麦芽の完成です。

2.糖化(マッシング)

糖化とは、大麦麦芽に含まれる酵素でデンプンを「糖」に分解する工程です。
まず、大麦麦芽を粉砕して温水と合わせてお粥のような状態にして、「マッシュタン」と呼ばれる槽の中で攪拌します。
次第にデンプンが糖に分解され、麦汁(ウォート)と呼ばれる液体が完成します。

3.発酵(ファーメンテーション)

発酵とは、麦汁に「酵母」を加えて発酵させる工程です。

麦汁に酵母を加えると、酵母は麦汁の糖を食べて増殖し、アルコールと炭酸ガスを生成します。
糖がなくなると酵母も死滅していき、発酵が止まって「モロミ」が出来上がります。

4.蒸留 (マチュレーション)

蒸留とは、アルコールと水の「沸点の違い」を利用して、モロミのアルコール分を濃縮する工程です。

使用される代表的な蒸留器は、「単式蒸留器」と「連続式蒸留機」の2種類。単式蒸留器はポットスチルとも呼ばれ、主にモルトウイスキーに使用されます。
2回蒸留、または3回蒸留が基本で、スチルの形状がウイスキーの味わいに影響します。
一方、連続式蒸留機はグレーンウイスキーに使用されるケースが多く、連続式のため短時間で大量に蒸留できるのが特徴です。

5.熟成 (エイジング)

熟成とは、モロミを蒸留してできた蒸留液を樽で一定期間、寝かせる工程です。

樽は「カスク」とも呼ばれ、大きさや材質の異なる複数の種類があります。新樽だけなく、過去にバーボンを熟成させていた「バーボン樽」や、シェリーの熟成に使用されていた「シェリー樽」なども使用されます。

熟成期間は各国で決まりがあり、例えばスコッチの場合は「3年以上」、ストレートバーボンは「2年以上」の熟成期間が必要です。

6.混和(ヴァッティング/ブレンディング)

混和は、樽ごとに仕上がりの異なる原酒を混ぜ合わせ、品質を均一にする工程です。同じ種類の原酒を混ぜることを、「ヴァッティング」と呼ぶ場合もあります。

一方、異なる種類の原酒を混ぜ、新たなウイスキーを調合するのが「ブレンディング」です。
デュワーズは「ブレンディング」によってつくられており、数種類のモルト原酒・グレーン原酒を混ぜ、バランスの良い味わいに調合されています。

7.瓶詰め(ボトリング)

瓶詰めは、混和した原酒を調整後に瓶に詰める工程です。

原酒は、まず「冷却ろ過」で白濁の原因となる物質を取り除くのが一般的です。中には、冷却ろ過をせずに製品化される銘柄もあり、「ノン・チルフィルター」とも呼ばれます。

冷却ろ過の後はアルコール度数を調整するため、加水します。
加水後は機械、もしくは手作業で瓶に詰められ、ラベルを張ればウイスキーの完成です。

最後に

ウイスキーの製造工程を7つのステップに分けて紹介しました。
穀物から琥珀色の液体に変化する過程を、少しでもイメージできたのではないでしょうか。
製造工程をさらに詳しく知りたい方には、蒸留所見学やテイスティングイベントの参加がおすすめです。作業工程や職人の技術を目の当たりにすることで、ウイスキーの新しい魅力を発見できるでしょう。