スコッチウイスキーの産地「スペイサイド」とは?
スペイサイドは、”スコッチウイスキーの聖地”と呼ばれるほど有名なウイスキーの産地です。スコットランド北部にあるスペイ川沿いの豊かな自然のある地域に数多くのウイスキー蒸留所が点在しています。
今回は、スペイサイドの特徴と魅力について紹介させていただきます。
「スペイサイド」について
スペイサイドは、スペイ川周辺のスコッチウイスキー作りが盛んな地域のことです。スペイ川は、全長172㎞とスコットランドで2番目に長く、最も急流な川。ウイスキー造りだけでなく、サーモンフィッシングとしても有名です。この地域は、大麦が育ちやすく、燃料となるピートも豊富にあります。豊富な水源と湿潤な環境が、ウイスキー造りに最適なのです。
ところが、スペイサイドは必ずしもスペイ川沿いではありません。スペイ川周辺のウイスキー造りが盛んな地域を指し、フランスのワインやドイツのビールのように明確な地理的表示はありません。
なぜスペイサイドでウイスキー造りが盛んなのか?
スペイサイドは豊富な水源や湿潤な気候、原料の大麦が発育しやすいなど、環境的にウイスキー造りに適しています。ところがもう一つ、スペイサイドでウイスキー作りが盛んになった理由があります。それはかつてスコットランドのウイスキーに課せられていた重すぎる税金がルーツです。
スコットランドでは、税金から逃れるためにウイスキーの密造が盛んにおこなわれていた時代があります。密造家たちは、平坦で都市部が集中しているローランドから険しい山々が連なるハイランド地方へと逃れていきました。特に密造家たちが集まった場所がスペイサイドでした。皮肉にも、その地で造られたウイスキーの出来が良く、1823年秘密裏に訪れていた英国王”ジョージ4世が禁制のスペイサイドモルトを所望。酒税法改正へのきっかけとなりました。
スペイサイドモルトウイスキーの特徴
スペイサイドで造られているウイスキーは、華やかでバランスのいいタイプが多い傾向があります。芳醇かつエレガントで多くの人から親しまれている銘柄が多いです。スモーキーでクセの強いアイラモルトとは対照的で、クセがなく万人受けしやすい銘柄が多く、スコッチシングルモルトの入門向けと言えるでしょう。
また、バランスのいい味わいがブレンデッドウイスキーのキーモルトとして重宝されてきました。デュワーズでもスペイサイドの「クライゲラキ蒸留所」と「オルトモア蒸留所」がキーモルトとして使用されています。